根管治療が失敗する10の理由
理由その3:根管充填が不十分または根の外まで押し出してしまった
もし歯科医師が根の長さを測定するときに誤って短く計測してしまった場合、様々な問題が起こってくるかも知れません。もし根の先端の位置を誤って計測し、そのままお掃除を進めていった場合、根の中に入れるお薬が根の先端に到達しないでしょう。これは感染した組織が根管の中に残留し、膿ができてしまう可能性が高くなることを意味します。また、もし根の長さを誤って長く計測してしまった場合にも、同様に失敗を招く問題が出てきます。
根の長さの計測を間違うと、根の先端を過剰に掃除してしまい、根管の先端を不必要に大きく削ってしまうことがあります。大きく根の先端が開いてしまうと、最終的に入れる根のお薬を緊密に密閉しにくくなることや、根のお薬を根の先から溢れ出してしまうことがあります。
理由その4:細菌が被せものの周囲から侵入して根管まで到達してしまった。
根管治療のプロセスは、根の細菌を除去することを目的としています。
しかし、半永久的または暫間的な歯の封鎖材の破損または劣化が生じた場合、細菌が根管に侵入して問題を引き起こす可能性があります。
これが、根管治療後に半永久的な封鎖が必要な理由です。
クラウンは、歯を覆うことで根管治療歯の破折を防止したり、細菌や様々な外的物質を根管内に侵入するのを遮断します。
細菌の再侵入を避けるためには、最終修復のタイミングが非常に重要です。
修復するステップが遅れると、根管に細菌の再感染が起こる可能性があります。
さらに悪いことに、ゴム製の根管内に入れる最終的なお薬が3日間唾液にさらされると、細菌が根管の先端まで浸透することが研究で示されています。これが起こってしまったら再治療が必要になります。
理由その5:不適切な根管充填
根管を綺麗にすることができたら、細菌が侵入しないように封鎖(根管充填)をします。よくレントゲンで白く見える材料が封鎖材です。根管はセメントと木の樹液からできたゴム製材料のガッタパーチャという材料を組み合わせ封鎖します。
この材料は根管の隙間を埋めるために使用されます。
細菌が繁殖したり再侵入を防ぐために、この材料を緊密に詰める必要があります。
緊密に根管充填をできなかった場合、失敗の原因になります。現在、ウェストコーストでは、サーマフィル、垂直加圧、オブチュラバックフィリングなど、さまざまな3次元的に根管を密閉する手法を使用しています。これらによって、根管が細菌に再繁殖する機会を与えないようにします。
理由その6:隠れた根管を見つけられなかった、または器具が到達できない場合。
歯の根の数、根管の数はおおよそ歯の種類によって決まっていますが、稀に根管が多く存在してることがあります。
予見できない余分な根管(副根管)の存在は失敗を招く原因の一つでもあります。
下顎の前歯では通常一本の根管しかありませんが、その後ろに更に一本存在してるケースもあります。そういう根管が存在している歯では最大で4本に分岐していることもあります。
副根管が発見されなかった場合、結果的に膿ができたり、感染を引き起こしたりするために根管治療が失敗してしまいます。
全ての根管を発見できて適切に根管内を先端まで消毒と清掃をできることが根管治療の最終目標ですが、この副根管を見つける作業が根管治療において最も難しいことの一つです。