デンタルクラウン
デンタルクラウンの目的と手順、その役割について
前世紀に何百万人の人々がクラウンを被せており、クラウンなどの補綴処置は歯科医学の中心となってきました。クラウンが登場する前は、変色歯、虫歯、破折歯の治療の第一選択は抜歯でした。
クラウンとは正確にはどのようなものでしょうか?
クラウンとは被せものとも言いますが、破損した歯や虫歯などに罹患した歯の機能回復に用いられてきました。そして患者様個々の形態を再現することや、多種な材料を用いたクラウンを被せることで強度、形、大きさを自然な形に再現することができるようになりました。クラウンを被せる最大の理由は、感染した歯と歯根の部分を完全に覆って保護することです。
クラウンの支台歯形成(歯を削って土台の形にすること)は、有能な歯科医にしっかり適合するように注意深く行われるべきです。この行程では0.8から1.5ミリ歯質を削除しなければなりません。そしてバランス良く、そしてクラウンを被せた後の安定性も考慮しなければなりません。この手順がうまく行けば、クラウンを被せるのに十分なスペースが確保できます。
我々歯科医師が処置中に判断しなければならない事項がいくつかあります。これは、被せる歯の特定の状態によって異なります。
1. 形成中に、クラウンの縁の位置を歯茎の上にするか下に設定するか。
クラウンの縁の位置を歯茎の上にするか下に設定するかは、審美性と適合の安定性、そして清掃のしやすさを考慮して決定されます。
永久歯冠が残りの歯、歯根、および周囲の歯茎における健康状態に対する将来の合併症または損傷を防ぐように、細心の注意を払わなければなりません。
2. どの程度歯質を削除すれば最適なクラウンが作れるか。
長期予後が最も良くなるようにするには、どの程度歯質を削除するか決定する臨床的なガイドラインが存在します。
安全で完璧な適合を確保するために天然歯を削るということは、クラウンを配置する目的でもあります。
クラウンに使用する材料もそれぞれに利点と欠点がありますので適切な材料を選択することは重要な項目です。
WICではクラウンの材料として、E.max, Empress, Lava, Bruxer, チタン, 金, 金合金, ジルコニアそして Prettauを取り扱っています。
クラウンの正しい材料選択として3つの要素があります。
- 強度がどのくらい必要か?強度の強いものは透明感がないので審美性に劣ってしまいます。
- 治療後にクラウンがどう見た目に影響するか?
- クラウンがどの程度保持力と接着強度を持っているか?
これらの項目のほとんどは我々歯科医師によって決定されます。 様々なオプションがあるため、価格体系は手順の選択と使用する材料によって変化しますので念頭に置いていただけますようお願い致します。
クラウンが適応される一般的な理由としては次のようなものがあります。
- ひどくすり減ったもしくは割れてしまった歯を修復する
- 弱い歯を虫歯から保護する
- 虫歯の治療で詰め物では構造上不安が残る歯の保存
- 大きな詰め物が既に詰められており、残存歯質がほどんどない状態の歯の保護
- 複数の歯と歯をブリッジの土台として使用する場合
- 過度に変色してしまった歯の色の改善や奇形歯の形態を回復
- 根管治療した歯を破折するリスクから守る
- インプラントの上部構造としての使用
- 審美的な目的で笑顔を改善する
- お口の清掃状態が悪く、おうちでも歯磨きが苦手で虫歯のリスクが高い子供の乳歯の保護
患者様と歯科医師は、早期に歯が崩壊してしまう、または抜歯になってしまう事態を防ぐというためにクラウンを被せるという目的が一致したほうが良いでしょう。
クラウンにおける合併症や注意点は以下の6つがあります
6. 歯が過度にしみる、または痛みが出る
クラウンを被せた後や、支台歯形成を行った際に、元々も生きていた歯髄が壊死してしまうリスクが常にあります。
これは、歯が延々としみて壊死していくプロセスがゆっくりと現れるか、または他の合併症を示す歯痛として即座に現れます。
文献によると支台歯形成を行った歯の2%未満に上記のような症状が現れると報告されています。
当院の著名な歯科医であるDr.Anは「歯を過剰に切削しない方が良い。また歯を冷やすには十分注水をしながら鋭利な回転切削器具を使用する方が良い。ほとんどの場合、切削中の過度の発熱、または歯に対する損傷が多いと歯髄壊死につながる。」と述べています。
5. クラウンが外れ続けてしまう
土台の歯の高さが低い、または土台の形が末広がりになってしまうと保持力が落ちてしまうのでクラウンが外れてしまいます。これはクラウンを製作する行程と支台歯形成の行程で防ぐことができます。
またクラウンが出来上がって、適合がゆるい場合、保持力を高めるためにセメントを大量にクラウンの内面に填入することになります。当院ではドイツ人の主任技工士による院内技工所を併設しております。
これは患者様にとって、費用、時間の面でとても利点が大きいですし、クラウンの適合や調整の面においても簡便で確実に行うことができます。
4. 経年的にクラウンの色と自分の歯の色が合わなくなる
残念なことに今日もしクラウンを製作して装着をしたとしても、5年、10年、20年という歳月の中でご自身の歯と調和しなくなることがあります。
これはなぜなら天然歯は加齢とともに色が暗くなっていきますが、クラウンは人工物なのでそうはなりません。
もしクラウンとご自身の歯の色に差異が生じた場合はホワイトニングが解決策になります。天然歯をホワイトニングすることで年々色が暗くなることを防いでくれるでしょう。
3. クラウンの周りにたくさん食べかすがたまる
クラウンの形態は食事中に食べ物が詰まらないように、両隣の歯ときつく接するように作られます。しかし稀に隣の歯との接触箇所が空いて、食べ物が詰まりやすくなることがあります。これは歯が何らかの理由で動揺する、または経年的に位置移動してしまうことで起こりやすくなります。
2. クラウンが壊れたり欠けたりすることがあります。
残念ですが歯科材料は天然歯と同じようにすり減る、または破損することがあります。しかし最近ではPrettauやBruxerといった金と同じような強度をもった新しい材料も出てきていますので、そのような材料を選択することで歯の破折や破損のリスクを減らすことが可能になってきています。
1. クラウンを被せてから虫歯になることがあります。
クラウンも歯の様に清掃できるように、滑らかで適合が良い必要があります。
そしてフロスとブラッシングを頻繁に行っていただき、定期的に歯科衛生士や歯科医師にクラウン辺縁の清掃を受けてください。
ご不明な点がありましたらお気軽にWICにお問い合わせください。なにが一番患者様に適しているかご提案させていただきます。